はじめに

ICL手術は、レーシックと並ぶ視力回復手術のひとつとして知られていますが、世界中で200万眼以上の実績があり、その安全性と有効性が認められています。最近では、著名人やインフルエンサーの方がSNSを通じてICL手術を受けたことを発信したことで、ICLの認知度が高まり、日本国内でも手術を受ける方が増えています。しかし、検査の結果次第ではICLを受けられない方もいらっしゃいますし、他に目の病気が認められる方も手術が受けられない場合があります。大切な目の手術になりますので、ICLに対して正しい情報を知っていただき、手術を検討する上での参考にしていただければと思います。
ICLとは?
ICLは、Implantable Contact Lensの略で、目の中に小さなレンズを挿入することによって視力を回復させる手術になります。ICL手術で使用されるレンズには、いくつか種類がありますが、それぞれのレンズに特性があります。冨田実アイクリニック銀座では、合併症の抑制を考えた新しいICL「プレミアムICL」を採用して手術を提供していますので、レンズの特性についても知っておくことが重要なポイントになります。
手術後は、コンタクトレンズやメガネのように日々のお手入れが不要となり、万一の時はレンズを取り除くことで元に戻すことができる可逆性の手術でもあります。また、角膜を削るレーシックと異なり、不正乱視の増加が少なく質の高い視界を手に入れることができるのもICLの魅力のひとつです。
ICL手術について
ICL手術は、両眼同日に行うことができますので、1日で終了します。日帰りで手術を受けることができますので、入院の必要もなく、手術当日にご帰宅いただけます。
実際の手術は、点眼麻酔をして、2.5ミリほどの切開創から目の中に小さなレンズを挿入します。手術は両眼10分程度で終了しますので、手術の準備や手術後の安静時間のほう圧倒的に長いと思います。緊張しやすい方や怖がりな方は、笑気麻酔も使用することができますので、事前にお申し出いただければ、リラックスして手術に臨んでいただくこともできます。
ICL手術のメリット・デメリット
ICL手術は、安全性が確立された視力回復手術になりますが、医療行為になりますので、リスクがゼロという訳ではありません。ICL手術を検討されている方にとっては、メリットもデメリットも同じくらい重要な検討要素になると思いますので、双方を理解していただくことが大切だと考えます。

<ICLのメリット>
・日常生活を裸眼で過ごせる
・レンズを取り除けば元の状態に戻せる可逆性の手術であること
・角膜を削らないため見え方の質が高い
・コンタクトレンズのように日々の手入れや定期的な購入が不要
・災害時も裸眼で見えるため安心
・強度近視の人でも手術が可能
・乱視も同時に矯正できる
・角膜を削ることに抵抗がある方に適している
・角膜を削らないので手術の適応範囲が広い
<ICLのデメリット>
・手術費用がレーシックよりも高額である
・術後の通院が必要
・レンズを準備する期間が必要
・手術であるため合併症のリスクがある
ICL手術を受けられる人・受けられない人
ICL手術は、角膜を削らない視力回復手術になりますので、角膜の厚さに左右されず、強度近視の方や乱視が強い方でも手術をうけることができます。昔は、レーシックが適応とならなかった方が受ける手術というイメージもありましたが、質の高い見え方がICLの特徴でもあるため、最近ではICL手術を第一候補で検討される方も増えています。手術を受けるためには、まず適応検査を受けていただき、手術の可否を診断する必要があります。当然、ICLにも適応条件がガイドラインで定められていますので、検査の結果によっては手術を受けられない場合もあります。ここでは、手術を受けられる条件、受けられない条件について紹介していきましょう。
<ICLが適応となる方>
・18歳以上から
・当院では、40歳以上の方には老眼に対応したレンズがあります
・角膜内皮細胞が規定数値以上あること
・前房深度(目の中のスペース)が規定値以上ある方
・他に目の病気が認められない方
・医師の説明が理解できる方
<ICLが受けられない方>
・18歳未満の方
・目の中のスペースが狭い方(前房深度が浅い方)
・妊娠中の方
・向精神薬を複数服用されている方
・重篤な目の病気が認められる方
・全身疾患などの理由から医師が不適当と判断した場合
・医師の説明が理解できない方
ICL手術はやめたほうがいい?
ICL手術を受けようか迷っている人は、「手術のリスクやデメリット」と「手術費用の負担」が主な理由にあげられると思います。もちろん、ICL手術も医療行為である以上、リスクが全く無いわけではありません。また、手術費用を支払って、万一のトラブルが起こったらと考えると中々決断できない人もいると思います。ICL手術は、術式も確立され、安全性の高い視力回復手術として認知されています。また、多くの著名人が手術を受けたことをSNSで情報発信したことで背中を押された人もいるでしょう。最大のメリットである裸眼での快適な生活と手術のリスク、費用の負担を比較した上で、メリットの方が大きいと判断できれば手術を受けようと決心できるのではないかと思います
<ICL手術の主な合併症>
*ハロー・グレア
手術後、夜間に街灯などの強い光源を見た時に、光の環やギラギラと光が散乱する症状が現れることがあります。ハロー・グレアは、手術を受けていなくても起こる症状でもありますが、ほとんどが時間の経過とともに解消していきます。
*一時的な眼圧上昇
手術後、一時的に眼圧が上昇することがあります。自然に改善することがほとんどですが、稀に点眼や点滴による処置を行うこともあります。
*レンズの偏位・回旋
手術後にレンズがズレてしまったり、回転してしまうことがあります。レンズのサイズが合わないと起きやすい症状になります。当院で使用しているプレミアムICLは、レンズの大きさが13サイズと豊富に揃っていますが、種類によっては4サイズしかないレンズもありますので、事前に確認しておきましょう。
*白内障
非常に稀な合併症ではありますが、目の中の手術には白内障が起こる可能性が少なからず存在します。現在のレンズは、レンズの中心にホールが設置されていますので、目の中を流れる房水の循環経路が確保されています。これによって、白内障のリスクは大幅に軽減されています。当院で使用しているプレミアムICLには、マージンホールやハプティクスホールといった新しいホールが設置され、リスク軽減の役割を担っています。
緑内障
非常に稀な合併症ではありますが、手術後に眼圧が上昇することがあります。眼圧が高くなると緑内障のリスクが考えられますが、眼圧の上昇は一時的なものが大半で、自然に改善することがほとんどです。また、現在のレンズは、レンズの中心にホールが設置されていますので、目の中を流れる房水の循環経路が確保され、眼圧の上昇リスクが軽減されていますので、緑内障のリスクも軽減されています。
虹彩炎
目の手術後はどんな手術でも炎症が起こります。ICL手術後も稀にではありますが、虹彩炎(前房内の炎症)が起き、目の充血やかすみ目などの症状が出ることがあります。点眼薬や内服薬による処置で改善しますが、術後の点眼薬をしっかり行っていただくことも大切です。
角膜内皮細胞の減少
目の手術後はどんな手術でも角膜内皮細胞が僅かながら減少します。そのため、手術の前に角膜内皮細胞の検査を行い、規定値に満たない場合は手術を受けることができません。
感染症
感染症は、どんな手術においても非常に怖い合併症です。万一、感染症が起こってしまった場合は、速やかに適切な処置を行う必要があります。当院は、外科的手術にも対応できるクリーンルームを完備していますので、感染症が起こったことはありませんが、2000人に1人の割合で起こる可能性があると言われています。
老眼
40歳以降の方が、近視を改善する手術を受けると、急に老眼の症状を自覚したり、老眼を自覚する時期が早くなるリスクがあります。そのため、当院では40歳以上の方を対象に老眼の検査も行っています。近方、中間、遠方に焦点が合う老眼に対応した3焦点プレミアムICLも取り扱っていますので、老眼を自覚してくると言われている40歳以降の方でもICL手術は可能です。
合併症について
合併症といっても必ず起こる訳ではありませんし、時間の経過とともに解消していく症状も多いので、必要以上に怖がる必要はありません。ただ、手術である以上はリスクがゼロという訳ではありませんので、手術を検討する上で知っておくべき情報であると思います。
こういった情報を知った上で、ICLをご検討いただくことも必要だと考えます。
老眼が始まる40歳以上の方でも視力回復手術を諦めなくてもいい?
昔は、老眼の治療はできないと言われていましたが、ICLにも老眼に対応したレンズが登場したことで、40歳以上の方でも視力回復手術を検討できるようになりました。当院で採用しているプレミアムICLには、老眼に対応した3焦点プレミアムICLがありますので、老眼で苦労されている方には有効な選択肢となります。老眼は、ピント調節力の衰えが原因になりますので、眼精疲労の原因にもなりますし、肩こりや頭痛に発展することもあります。
老眼に対応した3焦点プレミアムICLは、近方、中間、遠方に焦点が合うレンズ構造をしており、乱視も同時に改善することも可能です。「もう年だから・・・」と視力の回復を諦めてしまった人には、老眼が治療できる時代が到来したことを知っていただきたいと思います。
まとめ
ご自身の目の状態や年齢、レンズの種類や機能、合併症の情報などをトータル的に考えて、手術を検討いただくことがベストであると考えます。
「ICL手術Q&A集」:ICL手術の疑問をすべて解決!
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監修者

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