冨田実アイクリニック銀座

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ICLレンズについて

ICLは、お手入れが不要の永久コンタクトレンズとも呼ばれていますが、レンズの種類も複数あります。まず、レンズを挿入する位置によって前房型レンズと後房型レンズに区分けされますが、現在の主流となっている後房型レンズの中にも様々なレンズがあります。それぞれのレンズによって特徴がありますが、ICL手術が開始された1986年以降もレンズの性能は向上しています。新たに登場したICLレンズには合併症を抑制する機能が追加されるなど、安全性の面で大きく進化を遂げています。わずか数ミリのレンズの中に手術の安全性を向上させる様々な機能が組み込まれていますので、ここでは、皆さんが気になるICLレンズの特徴について解説していきたいと思います。

  • (目次)
    ・ICLレンズの種類について
    ・レンズに開けられたホール(穴)について
    ・ICLレンズの中心にあるホール(穴)は視力に影響はないの?
    ・合併症を抑制するプレミアムICLについて
    ・レンズ選びのポイント
    ・まとめ

ICLレンズの種類について

ICLレンズの種類について

ICLレンズには、角膜と虹彩の間にレンズを挿入する「前房型レンズ」と虹彩と水晶体の間にレンズを挿入する「後房型レンズ」があります。前房型レンズは、虹彩にレンズを固定するため、顔を近づけてみるとレンズが挿入されているのが解ります。一方、虹彩の後ろにレンズを挿入する後房型レンズは、レンズを挿入してあることが外からは解らないので、審美性に優れています。そのため、現在は後房型レンズが主流になっています。最近、多くの著名人が手術を受けたことでICL手術の人気が急上昇していますが、皆さんがICLと呼んでいるレンズは後房型レンズになります。日本国内では、5種類のICLレンズが使用されていますが、レンズによって特徴や機能が異なりますので、手術を受ける際はレンズの性能についての情報が重要になります。特に新しく登場した「プレミアムICL」には手術後の合併症を抑制する機能やレンズに汚れを付着させない加工が施されていますので、安全性が高く、よりクリアな視界が期待できるレンズとして世界からも期待されています。

レンズに開けられたホール(穴)について

レンズに開けられたホール(穴)について

ICL手術で使用されるレンズにも種類があることは理解いただけたと思います。ここでは、主流となっている後房型レンズに着目して、レンズの性能について紹介していきたいと思います。最近のICLレンズには、レンズの中心にホール(穴)が設けられていますが、このホールにはきちんとした役割があります。目の中には栄養の運搬と老廃物の排出をするために房水が循環しています。この房水の循環経路を確保するためにレンズの中心にホールが設けられました。最近では、このホールタイプのレンズが普通に使用されていますが、少し前まではホールが無いレンズしかありませんでした。その代わりに、手術の前にはレーザーで虹彩に穴をあける「虹彩切開術」が必要不可欠でした。房水の流れが悪くなると眼圧(目の内圧)が上昇し、視神経にダメージを与える緑内障を発症する可能性があるため、房水の流れを確保することは非常に重要な処置でもありました。最近のレンズには、最初から中心にホールが設置されていますので、「虹彩切開術」を受ける必要はなくなりました。また、新しく発売された「プレミアムICL」には、中心のホール以外にもレンズの上部と両サイドに合計6つのホールが設けられています。上部に開けられた2つのホールはマージンホールと呼ばれ、白内障の発症を予防する効果があります。また、両サイドに2つずつ開けられたハプティクスホールは緑内障の発症を予防する効果があります。中心に開けられたセントラルホールと合わせると全部で7つのホールが設置されています。このように、レンズに設けられたホールの役割は重要ですが、新たに登場したプレミアムICLは合併症の抑制まで考えた最新のICLレンズになります。

※プレミアムICLのホール画像

ICLレンズの中心にあるホール(穴)は視力に影響はないの?

ICL手術で使用されるレンズには、中心に小さなホール(穴)が設置されていますが、以前のレンズにはホールはありませんでした。レンズの中心に設置されたホールは、眼の中を循環する房水の流れる経路を確保する役割があり、眼圧が上昇してしまうことを防ぐ役割を果たしています。ただ、レンズのど真ん中に設置されたホールが視力に影響しないか心配になったこともあると思います。
ICL のレンズ中央にあけられたホールは、0.36mm と非常に小さいため視力には影響しないと言われています。手術を受けた人の中には、ホールが見えるという人もいますが、全く見えないという人が圧倒的に多く、見えるという方でも時間の経過とともに気にならなくなってきます。このホールが影響するもう一つの症状としてハロー・グレアがあります。ホールによる屈折現象で光を見た時に輪のようなものが見えることがあります。ホールの縁に光が反射することで起こる症状になりますが、レンズの種類によっても違いがあります。ハロー・グレアという症状は手術をしていなくても見える症状になりますので、手術後も症状を感じる方もいれば、全く感じない方もいますが、ほとんどが時間の経過とともに徐々に気にならなくなります。

※世界で初めてホールの影響について論文を発表

レンズ中央にホール(穴)が設置されたホールタイプの ICL は、レンズの真ん中に穴が開いているため、実際に視力への影響を心配する声も少なくなかったと思います。ICL のホール無しとホール有りのレンズを比較して視機能に変わりがない事を証明した初めての論文を世界に発表したのが当院の冨田院長になります。この論文は、2014 年に発行された世界的な眼科英文専門誌である「American Journal of Ophthalmology 」にも掲載されています。ホールタイプの ICL は、日本で開発されて 2014 年に認可されましたが、冨田院長を中心に構成されたチームが行った研究によって、認可直後に視力に影響がないことが証明されています。

合併症を抑制するプレミアムICLについて

ICL手術に使用するレンズにも様々な種類があることは理解いただけたと思いますが、新しく登場したレンズには従来のレンズには無い多くの機能が組み込まれています。特に、当院が日本で初めて採用した「プレミアムICL」は、これまでのICLレンズには無かった多くの機能が組み込まれ、ICL手術の安全性を向上させたレンズとして世界的な注目を集めています。より詳しい内容については当院の「ICLサイト」をご覧いただければと思いますが、ここでは簡単に新たな機能を紹介していきたいと思います。

<レンズに設置された計7つのホール>

プレミアムICLには、レンズの中に計7つのホールが設置されています。レンズの中心に設置されているセントラルホールは、他のICLレンズと同様に房水の流れを確保する役割があります。レンズの上部に開けられた2つのホールはマージンホールと呼ばれ、白内障の発症を予防する効果があり、レンズの両サイドに2つずつ開けられたハプティクスホールは緑内障の発症を予防する効果があります。


<レンズの光学部>

レンズの光学部(物を見る部分)は、レンズの種類によって大きさが異なります。
プレミアムICLの光学部は直径6.6mmと非常に広く設計されています。日本人の瞳孔径の平均は4.4mmになりますが、明るい場所では2mm~4mm、暗い場所では4mm~8mmと暗い所ほど瞳孔は大きくなります。特に、若い人ほど瞳孔径が大きいため、夜間に瞳孔が拡大した時にレンズの光学部よりも瞳孔が広くなると、直接眼内に入り込んだ光がレンズの縁に乱反射してハロー・グレアの原因になります。

  • プレミアムICL
    光学径:6.6mm

*さらに瞳孔径が広く設計されたレンズが新登場
光学部の直径が6.8mmのプレミアムICL Proと、光学部の直径が7.0mmのプレミアムICL Pro Maxが新たに登場しています。この2つのレンズは、2023年に当院が日本で初めて導入しましたが、ほとんどの方はレンズの光学系が6.6mmに設計されているプレミアムICLで対応可能です。ただ、瞳孔径が大きい方にはプレミアムICL Proもしくは光学部の直径が7.0mmのプレミアムICL Pro Maxをご提案することもできます。

  • プレミアムICL Pro
    光学径:6.8mm


<プレミアムカーブ>

ICLの手術では、レンズと水晶体との距離が確保されていないと、手術後に白内障を発症するリスクが高くなります。レンズの種類によってレンズと水晶体との距離が異なりますが、このスペースがしっかりと確保できていることがポイントになります。プレミアムICLは、プレミアムカーブと呼ばれる独自のレンズデザインでレンズと水晶体との距離を確保しています。


<レンズのサイズ>

患者様の目の状態に合わせてオーダーする「プレミアムICL」は、レンズの大きさが13サイズ揃っていますので、適切なサイズで手術を受けることができますが、その他のICLレンズは既成のレンズになるので、レンズの大きさは4サイズしかありません。中には3サイズしか無いICLレンズもありますが、レンズのサイズが合わないと、手術後に目の中で回転するリスクが高くなります。


<ハプティクスの役割>

レンズを目の中で安定させる役割を担っているのが、レンズの両脇にあるハプティクス(支持部)になります。多くのICLレンズは4つのハプティクス(支持部)を採用していますが、「プレミアムICL」のハプティクスは6つありますので、眼の中の安定性に優れています。


<乱視軸をカスタマイズ>

一般的なICLレンズは、乱視軸に合わせてレンズを傾けて挿入します。その傾きは最大20度にもなります。プレミアムICLは、乱視軸をレンズの光学部にカスタマイズしますので、レンズを水平もしくは垂直に挿入することができます。レンズを水平もしくは垂直に挿入することで、目の中でレンズが回転するリスクを軽減でき、房水の流れも自然な状態を維持することができます。


<レンズの素材について>

ICLレンズは、コラマーやハイブリッドアクリル素材で作られています。コラマーは、コラーゲンとポリマーを混ぜたもので、初期に登場したICLレンズに使用された素材になります。最近は、ハイブリッド・ハイドロフィリック・アクリルという柔らかい素材が開発されたことで、新しく登場しているICLレンズのほとんどが、ハイブリッド・ハイドロフィリック・アクリルを採用しています。コラマーという珍しい素材に特別感を感じることもあるかもしれませんが、眼内手術における実績の面では白内障手術でも使用されているアクリル素材が99.99%を占めていますので、レンズ素材の面ではハイブリッド・ハイドロフィリック・アクリルの安全性は圧倒的な実績を残しています。


<レンズ表面の仕上げ>

ICLレンズは、眼の中で長期に渡ってクリアな視界を維持することができます。それは、レンズに汚れが付きにくいからです。ICLレンズには、コラマーやハイブリッド・ハイドロフィリック・アクリルなどの素材が使用されていますが、どの素材も汚れが付きにくくなっています。また、プレミアムICLには「エクセレント・クリアサーフェイス」というレンズの表面を滑らかにする加工が施されていますので、ICLレンズの中でも見え方の質が高く、ハロー・グレアの発生リスクを低減する効果が期待できます。また、レンズの表面に汚れが付きにくいため、長期的にクリアな視界を維持することができます。

レンズ選びのポイント

ICL手術を受ける上で、レンズの選択はとても重要になります。特に、コラマーを使用したレンズは、メーカーによるブランド化によってICLの略称である「Implantable Contact Lens」を「Implantable Collamer Lens」として売り出したことで、患者様に誤解を与えた経緯があり、ブランド化による影響でICLの中でも費用も高いことが特徴です。
一方で、新しく登場したICLレンズは、合併症の抑制まで考えられて作られていますので、注目度は急上昇しています。合併症の抑制は、患者様だけではなく手術を執刀する医師にとっても重要な部分になるので、実績においても今後の急成長を期待しています。

まとめ

ICL手術で使用するレンズにも色々な種類のレンズがあり、それぞれに特徴があることを知っていただけたと思います。素材の違いや合併症の抑制機能の違い、レンズに設けられたホールの役割など、細かな部分まで紹介させていただきましたが、レンズを選ぶ際の参考にしていただけたなら嬉しい限りです。もっと詳しく知りたい方は、当院のホームページをご覧いただければと思います。

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