冨田実アイクリニック銀座

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白内障による目のかすみや視力低下について

白内障になると「目がかすむ」「視力が落ちる」など様々な症状が現れ生活に支障が出てきます。白内障の原因には、加齢や外傷、お薬の副作用などがありますが、加齢による老人性白内障が大半を占めます。白内障で濁った水晶体をクリアに戻すお薬はないため、治療方法は手術しかありません。白内障が進行すると視界が悪くなるだけではなく、ブドウ膜炎や失明に至ることもある緑内障を併発することもあるます。手術を受けることで視力の回復が望めますので、適切な時期に手術を受けることが大切です。実際の白内障手術では、人工の眼内レンズを使用しますが、レンズにはいくつか種類があり、生活スタイルや治療費、眼鏡との併用など条件で選ぶことが可能です。

  • (目次)
    ・白内障手術で使用するレンズには種類があります
    ・一つの距離にしか焦点が合わない単焦点眼内レンズ
    ・複数の距離に焦点が合う多焦点眼内レンズ
    ・白内障手術で使用するレンズの寿命について
    ・乱視が強い方には乱視用のレンズもご用意可能です
    ・レンズの入れ替えは高いリスクが伴います
    ・白内障と老眼との関係
    ・まとめ

白内障手術で使用するレンズには種類があります

白内障はレンズの役割を担っている「水晶体」が白く濁ってくる目の病気です。水晶体は、近くを見る時は厚くなり、遠くを見る時は薄くなってピントを調節する働きがありますが、
白内障になると透明な水晶体が白く濁り視力が低下します。手術により視力回復が可能ですが、白内障手術で使用される人口のレンズには、主に単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類があります。

一つの距離にしか焦点が合わない単焦点眼内レンズ

単焦点眼内レンズは、遠方もしくは近方のどちらかにしか焦点が合わないため、手術後に老眼鏡や眼鏡が必ず必要になります。

遠方とは…5mより遠くの距離
近方とは…手元、約30~40cm前後の距離

このうちの1つにしかピントが合いませんので、ピントが合わない距離を見る時は老眼鏡や眼鏡が必要になります。一般的には遠くにピントを合わせて、手元は老眼鏡を使用していましたが、最近はパソコンやスマホを利用する機会が増えてきたことで、近くにピントを合わせる方も増えてきています。手術の前に普段からよく使う距離を考え、医師とよく話をしてピントを合わせる距離を選択する必要があります。

複数の距離に焦点が合う多焦点眼内レンズ

単焦点レンズは一つの距離にしかピントが合いませんでしたが、この多焦点眼内レンズは複数距離にピントが合うためスムーズな日常生活が実現します。遠方と近方の2つの距離に対応する2焦点眼内レンズもあれば、近方・中間・遠方の3つの距離に焦点が合う3焦点眼内レンズなどがあり、目の状態や生活スタイル、お仕事、趣味などに合わせてレンズを選ぶことも可能です。最近では、4焦点、5焦点といったさらに焦点を増やした多焦点眼内レンズも登場していますので、選択肢に幅が広くなっています。多焦点眼内レンズは、一度の手術で白内障と同時に老眼を治療することができるため、平成19年に厚労省の承認を得て以降、注目を集めています。

遠方とは・・・5mより遠くの距離
中間とは・・・60cm~70cm
近方とは・・・手元、約30~40cm前後の距離

白内障手術で使用するレンズの寿命について

白内障で使用される単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズについて紹介してきましたが、どちらのレンズも長期的に目の中で機能することが確認されています。昔のレンズは、素材を型に流し込んでレンズを作成していたため、レンズの質が悪く寿命も短かったことがデメリットでした。しかし、最近のレンズは素材を削ってレンズを形成するレースカット製法が主流となっていますので、人間の寿命よりも長く目の中で機能してくれます。そのため、レンズの寿命は半永久的と言ってもいいかもしれません。
*レンズの安全性

眼内レンズは、レンズの役割を果たす丸い光学部(物を見る部分)と光学部を支えるための支持部で構成されています。レンズによって色々なデザインがありますが、眼内レンズを作るための素材は国際基準(ISO)にのっとっており、製造、認可、厳しい試験をクリアしたものになります。この眼内レンズは半永久的に使えるため、一度手術を受ければレンズ交換等は必要ありません。

乱視が強い方には乱視用のレンズもご用意可能です

白内障で使用される単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズについて紹介してきましたが、乱視の強い人には乱視用のレンズもご用意することができます。乱視は、物が歪んで見えたり、ダブって見えてしまう原因になりますので、見え方の質を低下させる原因になります。
せっかく手術を受けられても、乱視のせいで見え方に満足できないと勿体ないことになってしまいます。単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズのどちらのレンズにも乱視用のレンズがありますので、白内障手術で乱視を改善することも可能です。

白内障と老眼との関係

白内障と老眼は目の老化現象の代表格と言えますが、40代、50代、60代は老眼で苦労されている方も大勢いらっしゃいます。この年代の方は(特に50歳以上)、白内障が始まる時期でもありますので、老眼と白内障が重なっているケースが良く見受けられます。老眼だと思っていたら、実は白内障も見つかったという症例は珍しくありません。白内障では視界の霞み、視力低下、眩しい症状など自覚症状として現れますが、そこにピントの調節がしづらくなる老眼が重なれば、日常生活に支障が出ることもあると思います。
50代を過ぎると、多くの方に年齢相応の濁りが水晶体に認められるようになってきます。
老眼を治療したいというご相談でご来院いただいた患者様の中にも白内障が認められるケースも非常に多く、診察時に初めて自身が白内障であることを理解されることも・・・・・。
そういった場合は、老眼だけを治療しても直ぐに白内障手術が必要になってしまうため、白内障と老眼を同時に治療できる多焦点眼内レンズをお勧めしています。多焦点眼内レンズには、白内障を治療する目的に加えて老眼を治療する目的もありますので、一度の手術で複数の見え方を改善できるメリットがあります。ぜひ、多くの方に多焦点眼内レンズの存在を知っていただければと思っています。

まとめ

白内障手術で使用される眼内レンズには「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があることを知っていただけたと思いますが、日本では多焦点眼内レンズの普及がまだまだ進んでいない印象です。未だに、多焦点眼内レンズを悪く言う眼科医もいますし、自分が使用していないレンズのことは患者様に紹介も説明もしない風潮が根強く残っています。
人生100年時代と言われるようになり、白内障手術を受けた後の期間も長くなっていることは事実です。多焦点眼内レンズは、裸眼での生活が期待できるレンズになりますので、少しでも快適な日常生活を過ごしていただくためにも、白内障手術を受ける際の参考にしていただければと思っております。当院では、30種類以上の多焦点眼内レンズを取り扱っていますので、手術をご検討されている方は、ぜひご相談ください。

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