白内障手術は、濁った水晶体を取り除いて、代わりとなる人口のレンズを挿入します。
白内障手術で使用する眼内レンズには様々な種類がありますので、目の状態や見え方の希望に合ったレンズを選択することができます。
目の老化現象の代表格
白内障と聞くと、70代、80代で手術を受けるイメージを持っている人が多いようですが、当院では老眼治療の相談で来院される方の中に、白内障が認められるケースが少なくありません。年を重ねるにつれて老眼と白内障が同居する率が高くなりますが、多くの方は老眼だと思い込んでいることが多く、眼鏡の度数を変更しに眼鏡店を訪れた時に、白内障を指摘されるなんてこともよく耳にします。当院では、50代で約30%の方が白内障手術を受けられているというデータがありますので、皆さんのイメージよりも早い年代で白内障手術を済まされている人が結構いることがご理解いただけるでしょう。
老眼と白内障の症状の違い
*老眼の症状
人間の目は、カメラに例えるとレンズの役割を果たしている水晶体を変形させることによってピントを調整しています。毛様体筋と呼ばれる筋肉によって水晶体の厚さを変えることで網膜に焦点が合うと物をはっきりと見ることができます。若い頃の水晶体は柔軟性がありますので、厚さをスムーズに変えることができるのですが、年齢を重ねることにより水晶体が硬化してくると、水晶体の厚さを変えづらくなってくるため、焦点を合わせるピント調節機能が衰えてきます。これが老眼の原因になります。老眼の症状としては、手元が見づらくなり、細かな文字が読みづらくなります。無意識のうちに無理にピントを合わせようとしてしまうため、眼精疲労が慢性化して、肩こりや頭痛を伴うこともあります。
*白内障の症状
白内障は、加齢が原因の老人性白内障が大半を占めますが、透明である水晶体が白く濁ってしまうのは、水晶体のタンパク質が酸化して徐々に白く濁ってくるからです。本来は、人間が持つ代謝機能によって酸化して劣化したタンパク質を分解して新しいタンパク質を作り出して細胞を若々しく保ちますが、加齢によって代謝機能が低下すると、水晶体に酸化したタンパク質が蓄積して白内障を発症します。水晶体が参加する原因としては、紫外線への長期的な曝露、喫煙、偏った食生活、過剰な飲酒、運動不足などがあげられます。白内障で水晶体が白く濁ると、視界が霞む、眩しく感じる、視力低下、物が二重に見えるといった症状が現れます。
白内障と同時に老眼も治療できる眼内レンズ
一方、多焦点眼内レンズは、複数の距離に焦点が合うレンズになりますので、近方と遠方のどちらもピントを合わせることができます。最近では、中間にも焦点が合う3焦点眼内レンズ、4焦点眼内レンズ、5焦点眼内レンズなどパソコン作業などにも対応できる多焦点眼内レンズが登場しています。近くも遠くも中間も焦点が合う多焦点眼内レンズは、白内障と同時に老眼も改善できるメリットがありますので、白内障手術後も裸眼での生活が期待できます。人生100年時代と言われる現代社会では、いつまで若々しい視力で生活したいというニーズが増えていくと思われますので、多焦点眼内レンズへの注目度は更に上昇していくことでしょう。
老眼で苦労している人は早めの白内障手術が有効
当院では、遠近両用レーシックや老眼に対応したICL手術も行っていますので、老眼のご相談も非常に多く寄せられます。老眼のご相談は40代、50代が中心になりますが、50代の方の中には白内障が認められるケースが多く見受けられ、老眼と白内障が重なって発症していることで、かなり苦労されていることが伺えます。50代を過ぎると、急いで手術をするほどではないにしろ、水晶体に年齢相応の濁り(白内障)が観察できるケースが多く見受けられるようになってきます。もちろん、老眼だけを治療することも可能ですが、近い将来に白内障手術が必要になることを考えると、短期間で2度も眼の手術を受けることになります。そういった方には、多焦点眼内レンズによる白内障手術という選択肢があります。
多焦点眼内レンズは、白内障と同時に老眼も改善できるメリットがありますので、白内障が軽度であっても、老眼で苦労されている方には非常に有効な治療になります。加齢とともに目の機能も低下していきますが、水晶体を支えるチン小帯が弱くなっている症例も増えてきますので、手術の難易度が高くなります。また、高齢になればなるほど新しい見え方への順応もしづらくなってきますので、早い時期に手術を受けられた方のほうが、手術後の見え方に順応するのも早い傾向があります。多焦点眼内レンズは、老眼を治療できるレンズとしても効果がありますので、老眼治療の有効な選択肢であることを知っていただければと思います。
まとめ
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