眼鏡やコンタクトレンズから解放される視力回復手術として人気が高まるICLですが、「メリットしか書いていないクリニックの情報」では正しい判断はできません。本記事では、ICLのメリット9項目とデメリット9項目を一覧化し、合併症のリスクや術後の注意点までを誠実に解説します。

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3行で理解する

  • ICLの最大のメリットは「角膜を削らない」「可逆性」「強度近視に対応」の3点です
  • デメリットには「眼内手術ゆえの感染症リスク(3000分の1)」「自由診療で費用に幅がある」などがあります
  • 合併症のほとんどは時間経過で解消しますが、リスクをゼロにはできないことを理解した上で検討することが大切です

メリット・デメリットの一覧表

まずは、ICL手術のメリットとデメリットを一覧でご覧ください。

メリット

  • 角膜を削らないため見え方の質が高い
  • 強度近視や角膜が薄い方にも対応できる
  • レンズを取り出せば元の状態に戻せる(可逆性)
  • 近視の戻りが少なく、視力が長期的に安定
  • 術後にドライアイが起こりにくい
  • レンズのお手入れが不要
  • 老眼に対応した3焦点レンズもある
  • 白内障になっても手術可能
  • ハロー・グレアの抑制機能を備えた次世代レンズが登場

デメリット

  • 眼内手術のため感染症リスクがある(3000分の1)
  • レーシックより費用が高い(両眼60万円前後)
  • 自由診療のためクリニックで価格に幅がある
  • オーダーメイドレンズは準備に1ヶ月程度かかる
  • 合併症のリスクがゼロではない
  • 術後一定期間の経過観察が必要
  • レンズ取り出しも眼内手技でリスクが伴う
  • 角膜内皮細胞の減少リスク
  • 近視を「予防する」手術ではない

ICLの9つのメリット

ICLが視力回復手術として選ばれる理由を、ひとつずつ詳しく解説します。

1. 角膜を削らないから見え方の質が高い

ICLは角膜にレーザーを当てないため、術後に不正乱視(眼鏡では矯正できない角膜の歪み)が増加しにくく、鮮明でクリアな見え方が期待できます。これは、レーシックよりもICLが選ばれる最大の理由のひとつです。

2. 強度近視や角膜が薄い方にも対応できる

レーシックは角膜を削るため、角膜の厚みが足りない方や強度近視(-6.0D以上)の方には対応できないケースがあります。ICLは角膜を削らないので、角膜の厚みに左右されず適応範囲が広いのが特徴です。プレミアムICLでは-30Dの強度近視にも対応します。

3. レンズを取り出せば元の状態に戻せる(可逆性)

ICLの大きな特徴のひとつが「可逆性」です。万が一、目の状態が変わったり、別の病気が見つかったりした場合に、レンズを取り出すことで手術前の状態に戻せます

4. 近視の戻りが少なく、視力が長期的に安定

ICLは「永久コンタクトレンズ」とも呼ばれ、矯正精度の高い眼内レンズを挿入するため、長期的に安定した視力を維持しやすい手術です。

5. 術後にドライアイが起こりにくい

レーシックでは角膜のフラップを作る際に角膜の神経を切断するため、術後に一時的なドライアイ症状が出ることがあります。ICLはフラップを作らないので、ドライアイ症状が起こりにくいのが特徴です。

6. レンズのお手入れが不要

コンタクトレンズのように毎日の洗浄や保存液の管理は不要です。挿入後はそのまま日常生活を送れるため、お手入れの手間と費用から解放されます。

7. 老眼に対応した3焦点レンズもある

近年では老眼にも対応した3焦点モデルのプレミアムICLが登場し、40代以降の老眼世代の方にも選択肢が広がりました。詳しくは「合併症の抑制を考慮したICL ── 次世代プレミアムレンズの性能」をご覧ください。

8. 白内障になっても手術可能

将来的に白内障が進行した場合でも、ICLレンズを取り出した上で白内障手術を受けることができます。将来の治療選択肢を狭めないのもICLのメリットです。

9. ハロー・グレアの抑制機能を備えた次世代レンズが登場

ICLレンズの光学径が大きく改良されたことで、夜間に光がにじむ「ハロー」やまぶしく感じる「グレア」の発生が軽減されました。詳しくは「ICL手術を受けていなくてもハロー・グレアが見えるって本当?」もご参照ください。

ICLの9つのデメリット

ICLにもデメリットは確実にあります。手術を検討する上で必ず知っておきたい9項目です。

1. 眼内手術のため感染症リスクがある

ICLは目の中にアプローチする手術のため、角膜表面のみのレーシックよりも感染症リスクが相対的に高くなります。発生率は3000分の1程度と非常に稀ですが、感染症は最も重篤な合併症のひとつなので、感染管理体制の整ったクリニックを選ぶことが重要です。詳しくは「ICL手術における採血検査の重要性」もご参照ください。

2. レーシックより費用が高い

ICLは目の中にレンズを挿入するため、レンズ自体のコストがかかります。両眼で60万円前後が一般的な相場で、レーシックの30〜40万円と比べると高額です。詳しくは「ICLの費用|標準費用・医療費控除・分割払いを試算」をご覧ください。

3. 自由診療のためクリニックで価格に幅がある

ICLは自由診療のため、クリニックによって30万円台から80万円台まで価格に開きがあります。安すぎる場合は検査項目の省略や保証内容の不足、高すぎる場合は不要なオプションが含まれている可能性もあるため、価格の理由を確認することが大切です。

4. オーダーメイドレンズは準備に時間がかかる

既製レンズ(4サイズ)は1週間程度で準備できますが、オーダーメイドレンズ(13サイズ)は1ヶ月程度の準備期間が必要です。ただし、目に合ったサイズで手術を受けられるメリットがあります。

5. 合併症のリスクがゼロではない

どんな手術でも合併症のリスクはゼロにはできません。ICLの場合は、度数ズレ、レンズの傾き・回転、白内障、眼圧上昇、ハロー・グレア、角膜内皮細胞の減少などが想定されます(後述)。

6. 術後一定期間の経過観察が必要

眼内手術である以上、術後の経過観察が重要です。視力が改善した後も定期的な検診を受け続けることが、長期的な視力維持と早期トラブル発見のカギです。

7. レンズ取り出しも眼内手技でリスクが伴う

「レンズを取り出せば元に戻せる」というメリットはありますが、取り出す処置も眼内での手技であり、最初の手術と同様のリスクが伴います。「いつでも戻せる」と気軽に考えるのではなく、1回の手術で良好な結果を得ることを目指すべきです。

8. 角膜内皮細胞の減少リスク

角膜内皮細胞は角膜の透明性を保つ細胞ですが、加齢、コンタクトレンズの長期装用、眼内手術によっても減少します。再生しない細胞のため、術後も大切に管理する必要があります。

9. ICLは「近視を予防する」手術ではない

ICLは現在ある近視・乱視を改善する手術であり、新たな近視の発生を予防する手術ではありません。スマホやゲームを長時間使用する生活では、術後も新たな近視が発生する可能性があります。

合併症と起こり得る症状

合併症は必ず起こるものではありませんが、知っておくべき代表的な症状を解説します。

度数ズレ

術前検査の結果をもとにレンズの度数を決定しますが、わずかなズレが生じることがあります。特に過去にレーシックを受けている方は度数ズレが起こりやすい傾向があります。レンズ度数の正確な計算については「レンズの度数計算の重要性」もご参照ください。

レンズの傾き・回転

レンズのサイズが目に合っていないと、レンズが眼内で傾いたり回転したりすることがあります。特に乱視用レンズでは回転すると矯正効果が低下するため、サイズの豊富なオーダーメイドレンズの選択がポイントになります。

白内障

眼内手術には少なからず白内障のリスクがあります。レンズと水晶体の距離が重要で、距離が狭いとリスクが高くなります。水晶体との距離を十分に確保する設計の最新ICLレンズを選ぶことで、リスクを軽減できます。

術後の眼圧上昇

術後一時的に眼圧が高くなることがあります。多くは時間とともに正常化しますが、改善しない場合は点眼や点滴で対処します。

感染症

切開創から細菌が侵入することで感染症が起こる可能性があります。発生率は3000分の1程度と非常に稀ですが、最も重篤な合併症のため、感染管理体制が重要です。

ハロー・グレア

術後しばらくの間、夜間の街灯や車のライトの周りに光輪が見えたり(ハロー)、まぶしさを感じたり(グレア)することがあります。多くは時間経過で軽減します。光学径の大きな最新レンズではこの症状の発生が抑えられています。

角膜内皮細胞の減少

眼内手術により角膜内皮細胞が一定程度減少します。極端に減少すると角膜が濁る可能性があるため、手術前の検査で十分な細胞数があることを確認します。

術後の注意事項

合併症(特に感染症)を予防するため、術後は以下の点を必ず守る必要があります。

術後1週間が特に重要な時期です。長期的な視力維持と早期トラブル発見のため、定期検診も「手術の一部」とお考えください。

ICLは「近視を予防する」手術ではない

もうひとつ大切な点は、ICLは現在の近視・乱視を改善する手術であり、新たな近視の発生を予防する手術ではないということです。

術後も、スマホやゲームを長時間至近距離で使用する生活を続ければ、「スマホ老眼」と呼ばれるピント調節機能の低下や、新たな近視の発生が起こる可能性があります。せっかく手に入れた良好な視力を長く維持するためにも、目を酷使しない生活習慣を心がけることが大切です。

よくある質問(FAQ)

ICLは本当に安全な手術ですか?
ICLは術式が確立された比較的安全性の高い手術ですが、眼内手術である以上、感染症や合併症のリスクをゼロにはできません。発生率は感染症で3000分の1程度と稀ですが、執刀医の経験と感染管理体制によって安全性は大きく変わります。実績のある屈折矯正手術専門医のいるクリニックを選ぶことが安全性を高めるポイントです。
ICL手術後にハロー・グレアは必ず出ますか?
必ず出るわけではありません。光学径の大きな最新ICLレンズではハロー・グレアの発生が抑えられています。出た場合も多くは時間経過で軽減します。詳しくは「ICL手術を受けていなくてもハロー・グレアが見えるって本当?」をご覧ください。
ICLのデメリットを最小限にするには?
屈折矯正手術に精通した医師のいるクリニックで、(1) 詳しい術前検査を受ける、(2) 自分の目に合ったサイズのレンズ(オーダーメイドが望ましい)を選ぶ、(3) 術後の点眼と定期検診を確実に守る、この3点が重要です。価格だけでクリニックを選ばないことも大切です。
若いうちにICLを受けても問題ありませんか?
近視・乱視の度数が安定する18歳以降が適応の目安です。ただし、若い方ほどスマホやゲームの使用時間が長く、術後に新たな近視が発生するリスクがある点には注意が必要です。視力を大切にする生活習慣もあわせて意識することが大切です。
まとめ

デメリットを知った上で、メリットの大きさを判断しましょう

ICLは多くの方にとってメリットの大きい視力回復手術ですが、デメリットも確実に存在します。手術である以上、リスクはゼロにはできません。

大切なのは、メリットだけでなくデメリットも知った上で、ご自身の目の状態と生活スタイルにとって本当に必要な手術かを判断することです。検査結果をもとに、屈折矯正手術に精通した医師から中立な情報を聞くことが、後悔しない選択への第一歩です。