ICL手術は、近視・乱視などの屈折異常を矯正し、視力の回復を目的として医師が行う眼科手術です。そのため、一般的には医療費控除の対象となります。本記事では、医療費控除の仕組み・計算式・申告方法までを詳しく解説します。
ICL手術は一般的に医療費控除の対象になる
ICL手術は、近視・乱視などの屈折異常を矯正し、視力の回復を目的として医師が行う眼科手術です。そのため、一般的には医療費控除の対象となります。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告を行うことで所得控除を受けられる制度です。ICL手術は自由診療のため健康保険は適用されませんが、自由診療であっても、医師による治療目的の医療費であれば医療費控除の対象となる場合があります。
国税庁では、視力回復を目的としたレーシック手術について、医師の診療または治療の対価として医療費控除の対象になると説明しています。ICL手術も、近視や乱視を矯正し、視力回復を目的として行う治療であるため、同様に医療費控除の対象として扱われることが一般的です。
国税庁の取り扱い
国税庁は視力回復を目的とした屈折矯正手術について、「医師の診療または治療の対価」として医療費控除の対象になると説明しています。ICL手術もレーシック同様、視力回復を目的とした医師による治療のため、同じ扱いとなるのが一般的です。
医療費控除の仕組み
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に、本人または生計を同じくする家族のために支払った医療費が対象になります。対象となる医療費は、ICL手術費用だけでなく、術前検査費用、術後診察費用、医師から処方された目薬代、通院交通費なども含まれる場合があります。
医療費控除の計算式
医療費控除額 = 1年間に支払った医療費の合計額 − 民間の医療保険等で補填された金額 − 10万円
ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく「総所得金額等の5%」を差し引いて計算します。また、医療費控除額の上限は200万円です。
医療費控除の具体的な計算方法
例1:総所得金額等が200万円以上の方
例えば、ICL手術やその他の医療費を含めて、1年間に60万円の医療費を支払った場合、民間の医療保険等から支払われる保険金などによる補填がなければ、原則として以下のように計算されます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1年間の医療費 | 600,000円 |
| 保険金などによる補填 | 0円 |
| 差し引く金額 | 100,000円 |
| 医療費控除額 | 500,000円 |
この場合、50万円が医療費控除の対象額となります。なお、医療費控除は「50万円がそのまま戻ってくる制度」ではありません。課税対象となる所得から50万円を差し引き、その結果として所得税や住民税の負担が軽減される制度です。
例2:総所得金額等が200万円未満の方
例えば、総所得金額等が150万円の方の場合は以下のようになります。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 差し引く金額 | 150万円 × 5% = 75,000円 |
| 医療費控除額(医療費60万円の場合) | 60万円 − 75,000円 = 525,000円 |
この場合、525,000円が医療費控除額になります。総所得金額等が200万円未満の方は、10万円より低いハードルで控除を受けられるため、所得が低めの方ほど恩恵を受けやすい制度設計になっています。
医療費控除の申告に必要なこと
医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。会社員の方でも、年末調整だけでは医療費控除を受けることはできません。
申告に必要な書類・記録
ICL手術を受けた場合は、以下のものを保管しておくと安心です。
- ICL手術費用の領収書
- 術前検査・術後診察の領収書
- 処方薬の領収書
- 通院にかかった公共交通機関の交通費の記録
交通費の取り扱い
通院のための電車・バスなどの公共交通機関の交通費は、医療費控除の対象となる場合があります。一方で、タクシー代や自家用車のガソリン代、駐車場代は、原則として対象外とされています。やむを得ずタクシーを使う場合(足の怪我等)は対象になることもあるので、領収書は念のため保管しておきましょう。
確定申告の手続き
確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。
申告の3つの方法
- e-Tax(電子申告):マイナンバーカードがあれば、自宅からオンライン申告が可能
- 税務署窓口での申告:書類を持参して直接提出
- 郵送による申告:必要書類を税務署に郵送
「医療費控除の明細書」の作成
医療費控除を申告する際は、「医療費控除の明細書」を作成して提出します。領収書の提出は原則不要になりましたが、5年間は保管が必要です。税務署から確認を求められた場合は提示する必要があります。
領収書の管理は確実に
ICL手術を受けた年は医療費が高額になるため、領収書の管理が重要です。当院の領収書は再発行ができませんが、紛失した場合は支払い証明書を発行できます。家族分の医療費もまとめて控除申請できますので、世帯の医療費領収書を1か所にまとめて保管しておくと便利です。
所得税の還付額の試算例
医療費控除の金額がそのまま戻ってくるわけではない点に注意が必要です。実際にいくら戻るかは、所得税率と住民税率によって変わります。
| 年収(給与所得) | 所得税率 | 医療費50万円のときの還付額(試算) |
|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 約20,000円(所得税)+約40,000円(住民税) |
| 500万円 | 10% | 約40,000円(所得税)+約40,000円(住民税) |
| 800万円 | 20% | 約80,000円(所得税)+約40,000円(住民税) |
| 1,200万円 | 33% | 約132,000円(所得税)+約40,000円(住民税) |
※ あくまで概算です。家族構成・他の控除・住民税の計算方法等により実際の還付額は変動します。詳細な計算は税務署または税理士にご確認ください。
税務に関する正確な情報は専門家へ
当院は医療機関のため、税務に関する個別具体的な相談にはお答えできかねます。実際の控除額や申告方法は、患者様の所得・1年間に支払った医療費の総額・保険金などによる補填の有無によって異なります。詳しくは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
医療費控除を活用して、実質的な負担を抑えましょう
ICL手術は、近視・乱視などを矯正し、視力の回復を目的として医師が行う眼科治療です。そのため、一般的には医療費控除の対象となります。確定申告で医療費控除を申請することで、所得税の還付や住民税の軽減が期待できますので、ICL手術を検討する際の実質負担額を考えるうえで重要なポイントになります。
ただし、実際の控除額や申告方法は、患者様の所得や1年間の医療費総額、保険金の補填の有無によって異なります。領収書を必ず保管し、不明点は所轄の税務署または税理士にご相談ください。