ICL手術は、近視だけでなく乱視の改善にも対応できる視力矯正手術です。乱視がある方の場合、乱視用のレンズを使用することで、近視と乱視を同時に矯正することができます。しかし、その選択を患者様自身に委ねる対応には、慎重な検討が必要です。

「乱視用レンズにしますか?」という説明への違和感

ICL手術は、近視だけでなく乱視の改善にも対応できる視力矯正手術です。乱視がある方の場合、乱視用のレンズを使用することで、近視と乱視を同時に矯正することができます。

しかし、クリニックによっては、乱視がある患者様に対して「乱視用レンズにしますか?」「追加費用がかかりますが、乱視用レンズを希望されますか?」という形で、患者様自身にレンズの種類を選ばせるケースがあります。一見すると、患者様に選択肢を与えているように見えるかもしれませんが、これは本当に患者様のためになる対応なのでしょうか。

乱視用レンズは、単なるオプションではありません

ICL手術で使用するレンズは、患者様の目の状態、近視の度数、乱視の度数、角膜の形状、見え方の質などを総合的に判断して選択するものです。特に乱視がある場合、乱視を矯正する必要があるかどうかは、検査データをもとに医師が医学的に判断すべき重要なポイントです。

乱視用ICLレンズは、単なる「追加オプション」や「グレードアップ商品」ではありません。乱視がある患者様にとっては、術後の見え方の質を左右する大切な治療選択です。それにもかかわらず、「追加費用がかかるので、乱視用にするかどうかは患者様が決めてください」という説明をされると、患者様はどうしても費用面を重視して判断してしまいます。

当然、安さを優先すると、乱視が残る可能性があります

患者様にとって、手術費用は大きな判断材料です。そのため、乱視用レンズに追加費用がかかると言われると、「できるだけ安く済ませたい」「近視用レンズだけでも十分見えるのではないか」と考えてしまうことがあります。しかし、乱視矯正が必要な目に近視用レンズだけを使用すると、術後に乱視が残ってしまうので、裸眼視力の数字だけでは分かりにくい「見え方の質」に影響することになります。

— RESIDUAL ASTIGMATISM

術後に乱視が残ると、こんな症状につながる可能性があります

  • 文字がにじんで見える
  • 光がぼやける、にじむ
  • 夜間の運転で見えにくさを感じる
  • 遠くの看板や細かい文字がはっきりしない
  • 目が疲れやすい
  • 視力は出ているのに、見え方に満足できない

ICL手術で大切なのは、単に視力検査で良い数値が出ることだけではありません。日常生活の中で、クリアで快適な見え方、質の高い見え方を得られるかどうかが非常に重要です。

乱視のある目の見え方

後からレンズを交換する処置にもリスクが伴います

後からレンズ交換となれば、費用もリスクも増えることになります。もし術後に乱視が残り、見え方に満足できなかった場合、後から乱視用ICLレンズへの交換を検討することになるかもしれません。

しかし、レンズ交換を行うということは、もう一度目の中にアプローチする手術を受けるということです。当然ながら、手術の回数が増えれば、その分だけ身体への負担や感染、炎症、眼圧上昇、その他の術後トラブルのリスクも増える可能性があります。

また、再手術には追加費用が発生することもあります。最初に費用を抑えたつもりでも、結果的にさらに大きな費用負担につながってしまうのです。「安く済ませるために近視用レンズを選んだはずが、結果的に再手術や追加費用が必要になってしまった」というような後悔は、できる限り避けるべきです。

「患者様が希望したから」という説明には注意が必要

さらに注意すべき点は、術後に乱視が残り、見え方の悪さを訴えた場合です。当然、クリニック側は、「乱視用レンズを選ぶかどうかは患者様の希望でした」「患者様が近視用レンズを選択されたので、クリニックの責任ではありません」と対応しますので、患者様の責任にされてしまうのです。

しかし、患者様は医学的な専門家ではありません。自分の乱視がどの程度なのか、近視用レンズだけでどのくらい乱視が残る可能性があるのか、その結果どのような見え方になるのかを正確に判断することは簡単ではありません。本来、レンズの度数や乱視矯正の必要性については、検査データをもとに医師が医学的に判断するべきものです。患者様に選択肢を示すこと自体は大切ですが、医学的に必要な判断まで患者様に委ねようとする対応は適切ではありません。

SUMMARY

ICL手術で後悔しないために

ICL手術を受ける目的は、ただ裸眼視力を上げることだけではありません。眼鏡やコンタクトレンズに頼らず、日常生活を快適に過ごせる質の高い見え方を目指すことが大切です。そのためには、近視だけでなく、乱視まで含めた適切な治療が必要です。

乱視があるにもかかわらず、費用面だけを理由に近視用レンズを選んでしまうと、術後に「思ったよりクリアに見えない」「夜の見え方が気になる」「結局メガネが必要になった」「最初から乱視用レンズにすればよかった」と後悔する可能性があります。後から後悔する患者様を出さないためにも、ICL手術では、検査データに基づいた正確な診断と、医師による適切なレンズ選択が非常に重要です。